ワールドメイトのオウム真理教に対する考え方

ワールドメイトが、オウム真理教を賞賛し擁護したという完全な嘘

 私はこれが、Nさんの陳述書の最大のトリックのひとつだと思っています。つまり、「ワールドメイトが、かつてオウム真理教を賞賛し擁護していた」という完全な嘘を提示したことについてです。

 

 ワールドメイト側は、Nさんの陳述書が挙げる誤った論拠に対して、次々と正しい事実を提示し、完全に論破しています。

 

==========以下、引用==========

 

 まず、Nさんが指摘する1995年3月21日に、深見教祖の講演会が行われた事実はありません。実際に関東地区のエンゼル会員を対象に、大手町のサンケイホールで講演会が行われたのは同年3月25日です。Nさんが何を根拠にこうした虚偽を堂々と陳述書に書いたのか理解に苦しむところですが、日付すら不正確なメモやノート、記憶の類に何の信憑性もないことは明白でありましょう。また当然のことながら、3月25日の講演会においても、深見教祖が、地下鉄サリン事件を起こしたのはオウム真理教ではないと発言したという事実は一切ありません。

 この日は「地下鉄サリン事件」の直後であり、「オウム真理教一派の仕業ではないか」という憶測が取り沙汰されている状況でありました。そして、「次の攻撃はどこだろうか」と、日本中が戦々恐々としている緊迫した雰囲気の中での講演会だったのです。

 深見教祖はこの当時において、「オウム真理教は、北朝鮮に乗っ取られている」という神示を受け取っていたのです。もちろん、これは地下鉄サリン事件の実行犯が、オウム真理教徒であるという前提に基づいた神示であることは言うまでもありません。それゆえ、オウム真理教が関係する犯罪に、北朝鮮の影響がみられることを例証として挙げたのです。

 ところが、Nさんはどこをどう誤解したのか、深見教祖が「オウム真理教は実行犯ではない」と述べたものと、事実と全く逆に記憶しているようです。何の根拠もない、Nさんの全くの事実誤認に過ぎません。

 なお、オウム真理教がはたして北朝鮮などの勢力に乗っ取られたのかどうかについては、肯定否定のいずれにせよ、現在のところ断定的な報道はなされておりません。しかしながら、その後判明した事実として、オウム真理教幹部であり、ある時期にはナンバー2とまで称された早川紀代秀被告は、ロシアと日本を21回往復する際に、十数回にわたって北朝鮮を極秘裏に訪問したことが報道されており、このことが第132国会参議院法務委員会第10号(平成7年6月8日)で取り上げられたことを付言しておきます。

(ワールドメイト陳述書② 1617頁)

 

==========引用終わり==========

 

 Nさんの陳述書において、随所に見られる事実誤認。ただし、この場合は、意図的な匂いを強く感じます。

 オウムと北朝鮮の関係については、その後、多くのジャーナリストが指摘しつつあります。やがて、歴史が真実を明らかにすることでしょう。

 

 

ワールドメイトが麻原シンパであったという嘘

 さて、Nさんが「もともと(深見教祖は)麻原シンパであった」と主張していることについて。これが全く誤りであることは、『ワールドメイト陳述書①』で証明されています。ここでも、さらに詳しい証拠が示されます。

 

==========以下、引用==========

 

 深見教祖は麻原氏について、1990年11月11日、関西で行われた講演会で次のように評しています。

 『神様が言ってました。麻原彰晃というのは『あさはかの証拠』だ。ああやってマスコミに出たりね、早く大きくしようと、あるいはあまりにも不可思議な世界を追い求めていく。インドの神様がやってますからね。チャクラといったって2つぐらいしか開いてません。写真見たらすぐにわかる。最終解脱なんて大げさです』

 『(麻原氏がマスコミで叩かれているのは)この世の中の法律と常識の社会の正しい道というものを踏まえてやらなくてはいけませんよ、ということを(神様が)教えている。『あさはかの証拠』』

 当教団では、人間の体には7つの主要なチャクラのほかにも無数のチャクラが存在し、それぞれ違った働きがありますが、大切なのはそれらがバランスよく開いていることであり、一部のチャクラだけが偏って開くことは、決して優れたことではないと教えています。

 また、麻原氏が開いているのはお腹のチャクラなのですが、そこは度胸や根性を司るものであり、宗教家として一番大切な高度な霊覚や霊性、また知性や感性や品性、慈悲や愛の祈りを司るチャクラではありません。

 深見教祖が、地下鉄サリン事件などが起きる何年も前から、麻原氏をして「あさはかの証拠」だと評していたのは、そのためでもあります。前述の発言からも、深見教祖が麻原氏に対し、「賞賛」や「好評価」とはほど遠い評価を持っていたことがわかります。

 いずれにせよ、生業を大切にして現実界での正しい幸福を目指す、神道をベースにする当教団と、現実を否定した過度な出家思想のオウム真理教では、教えの根本から違っており、間違っても「擁護」したり、「高い評価」や「好意的な発言」をするはずがないことは明白です。

 とはいえ、講演会で深見教祖が述べた「オウム真理教は北朝鮮勢力になかば以上乗っ取られており、北朝鮮の勢力に使われて今回のような事件を起こした」という文脈を、「オウム真理教は無実である」と取り違えたNさんですから、深見教祖の明白な麻原氏評が理解できなかったとしても、決して不思議ではありません。

(ワールドメイト陳述書② 1718頁)

 

==========引用終わり==========

 

 いずれにせよ、当時ワールドメイトにいた会員の中に、オウム真理教を賞賛する雰囲気は全くありませんでした。上記のような講話は、それこそ無数にあり、オウム真理教や麻原氏というのは、私たち会員が「目指すべきでない方向性のひとつ」というのが共通認識でした。

 無論、ワールドメイトは、穏やかで攻撃性がないのが特徴ですから、積極的にオウムを批判したり攻撃したりといった、品のないことはしません。だからといって、オウムを賞賛や擁護したことには、決してなりません。深見先生の発言を読めば読むほど「賞賛発言」や「擁護発言」どころか、全く正反対の主張であったことは明らかであると思います。

 

ワールドメイトがオウムの犯罪を正当化したという嘘

 Nさんの論理は、そこからさらに大飛躍します。オウム事件に関連し、ワールドメイトが「架空の大事件を前提にして、無差別テロを肯定し、市民の大量殺戮を正当化」したと述べるのです。

いったいどこをどう読んだら、こんな話が出てくるのでしょう。そもそも、ワールドメイトがオウムのために、大量殺戮を正当化してあげる必要がどこにあるのでしょうか。

私は、当時も今も、深見先生やワールドメイトから、そんな発言を聞いたことがありません。陳述書の以下の記述を見ても、それが分かります。

 

==========以下、引用==========

 

 当教団において、地下鉄サリン事件のような明白な犯罪を正当化したことはこれまで一度もなく、今後も決してあり得ません。現実社会を大切にし、この世でもあの世でも人々が幸せになることを願う神道の精神においては、あり得ないメンタリティーです。むしろ、このような悲劇的な犯罪が再び起きないよう、全会員が一丸となって切なる祈りを捧げ続けてきたものです。

 Nさんが指摘している部分は、地下鉄サリン事件などの憎むべき犯罪に対する、絶対的な否定を前提とした上で、「オウム真理教が早期に地下鉄サリン事件などの早まった行為をしたため、本来用意されていたもっと大きな国家的謀略が防がれ、予想されていたより大きな悲劇が回避された」という、客観的な歴史的解釈を示したものであります。この文脈のどこをとっても、犯罪行為を否定こそすれ、肯定する部分は断じてありません。

(ワールドメイト陳述書② 1819頁)

 

==========引用終わり==========

 

 一読して明らかなとおり、Nさんの主張は、はなはだしい論理の飛躍が見られます。ワールドメイトを貶めるためだけの暴論です。

 Nさんが提訴されたのは、ネット上に暴論や侮辱表現を繰り返したからだとのことですが、この一節を読んでも、彼が自らの非を認め、謝罪したのは当然だと思います。

ところが、その主張が完全論駁されてもなお、その一方的な論が公開され続けているのです。知らないでNさんの論だけを読んだ人は、Nさんの主張が正しくてワールドメイトがそれを認めたかのように、勘違いするのではないでしょうか。

 

 ワールドメイト側は強い筆致で、「犯罪行為を憎み、悲劇が繰り返されることのないよう、ひたすら祈り続けてきた当教団に対する、許しがたい言いがかりであり、断じて承服しかねる(同上)」と書いています。犯罪行為を肯定したかのようなデマを書かれたのですから、ワールドメイトは完全に被害者であり、憤りを覚えるのは当然です。Nさんの行為は、司法の場における自らの謝罪を覆す、許し難い行為であるように思えてなりません。